●飴森くんの王子。
●黒の王子は飴森くんのぶつかった相手であり転入生である。
 
 


 
 


「んじゃST終わったし、転入生紹介すっぞ」
 
 
 
 
中野先生が重要なことを何故かスラリと言い放った。
突然の知らせにざわめき色めき立つ教室内。そりゃそーだ。
 
 
 
テンニューセーとかなにこのラブコメ展開。
 
 
もしかしてもしかすると絶世の美少女が教室に入ってきて、
目が合った瞬間お互いに一目惚れしちゃう不可抗力的な流れだろうか。
 
 
 
 
うーん、金髪ツインテールでツンデレ系女子も可愛くていいけど、
ミディアムのふわふわ癒し系女子もたまらんよねゲヘヘ。
 
 
いやぁ迷っちゃうね! 可愛いは罪!
 
 
でも一番は黒髪ストレートに少し涼しげな瞳で赤い唇の、
スタイル抜群且つちょっとミステリアスな雰囲気な……艶やかな美少女!
 
 
 
 
「顔ニヤけてる。……キモ」
 
 
 
 
おー言ってろ言ってろ。
フードマンにはこの高揚感と想像力の膨らみが理解できんだろうね。
可哀想なヤツ! ああ神さまどうかこの哀れな子羊に祝福を与えて下さいアーメン。
 
 
 
 
「なんか失礼なこと考えてるね……ウザ」
 
 
 

 
ちょ、聞こえてる、聞こえてるぞフードマン!!
せめて最後の言葉だけは心の内に留めておいてほしかったよ!?
 
 
そりゃ確かに可哀想こいつ女の子の可愛さを知らないとか何なの、
って感じで侮蔑を込めてチラリと見たけども!
 

未だに名前が分からなくて心の中でフードマンなんてあだ名で呼んでるけども!
 
 

 
あたしは声として出してないからね顔としては出してるかもしれんが!!
 

 

 
「……言ったでしょ、君の運勢は最高で最悪だって」
 
 

 
フードマンがまたもや不吉で意味深なセリフを繰り返す。
あのね、そのセリフ地味に胸を抉るからね?
 
 
あたしは占いとか信じないけど悪いより良いって言われる方が嬉しいんですよ。
嘘でもいいから良いって言う方が友達もできると思いますけどねー。
 
 
 
 
……って、言ってもどうせ無駄だよな。
 

< 13 / 31 >

この作品をシェア

pagetop