ハナミズキは白く咲き誇る
儚く白く…


~♪

ベルが鳴り
午前中の授業が終わった。

ガタガタと椅子を引く音と
そこかしこから立ち始めた話し声を聞くとはなしに聞きながら
教科書とノートをしまって
ゆっくりと席を立った。


今日は朝から天気がいい。

風も強くはないし、
こんな時は外でのんびりランチを楽しもう。




「ララ、一緒にどう?」

「ありがとう
 でも今日は1人でいたい気分なの」

同じクラスの超一流”A”グループの咲良(サラ)は、
私が断ってもイヤな顔をすることなく、美しい微笑みを浮かべて頷く。

教室を離れる前に振り返ると
咲良の周りには、女の子が集まっていた。

グループ”A”で、美人で、性格も良くて
咲良は皆の憧れだ。

私がランチを断っても
咲良が寂しい思いをする心配はない。





*...*...*





サンドイッチとドリンクが入った紙袋を持って
 お気に入りの場所、白いハナミズキが咲いている池の畔に来た。

わざわざここまで来る学生はいない。



  ハァ…


憂鬱な気持ちを引きずっているせいか
 ハナミズキは、いつになく儚げに見えた…。






「ララ」



「仁…
 ビックリした 足音しなかったから」

クスクス笑って
 仁は私の隣に腰を下ろした。


1人でいたい気分なの
そう言おうとしたけど、やめておいた。

仁が自分から話しかけてくるなんて滅多にない事だし
それに仁は、
 私の孤独の邪魔をしたりはしないから。
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