蟲狩り少女
胸騒ぎ
学校は本当に平和だった。


休み時間にあたしは周囲を見回し、蟲がいないのを確認して胸をなで下ろす。


けれど数秒後にはまた不安が胸の中に膨らんできて、また周囲を見回して確認する。


そんな事を何度も続けているうち、光磨がいぶかしげにこちらを見ていることに気が付いた。


「おい、どうしたんだよ里音」


案の定、心配して声をかけてきてくれる。


「うん……なんとなく、胸がざわつくの」


「蟲か?」


「わからない……」


あたしは左右に首をふった。


蟲の存在はどこにも見当たらない。


なのに、胸のざわつきは徐々に大きくなっている。
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