蟲狩り少女
狩り
蟲によって塞がれていたドアは徐々にその姿を取り戻し始めていた。


ボトボトと足元に落ちて消えていく蟲たち。


蟲が落ちた隙間から銀色のドアノブが除く。


ドアの蟲たちが随分少なくなったのを確認して、あたしはドアノブに手をかけた。


鍵のかかっていたいドアはすんなりと手前に開く。


しかしその瞬間、開いたドアの隙間から蟲たちが波のように押し寄せてきたのだ。


不意をつかれたあたしと光磨は避ける暇さえなかった。


「きゃぁ!」


「うわ!?」


あたしの短い悲鳴と、光磨の驚いた声。


それとほぼ同時に蟲に埋もれてしまう。


「助けて……!」


頭の先まで多いつくす数の蟲に、手も足もでない。


スプレーは手から滑り落ち、どこかへ行ってしまった。
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