蟲狩り少女
家族
なんとか部屋を掃除して着替えを終えると、ようやくお母さんに蟲の話をすることができた。


今はリビングで、助けてくれた光磨も一緒にいる。


テーブルの上には暖かいミルクティーが3つ用意されている。


「……そうだったの。ごめんね、迷惑をかけて」


お母さんはそう言い、心なしか光磨から視線をそらした。


今だけじゃない。


さっきからお母さんは光磨を見ようとはしていないように感じる。


「助かったから良かったです」


光磨はお母さんの態度に気が付いているのかわからないが、いつものように笑顔を見せている。


なんとも言い難い雰囲気に、あたしは居心地が悪くて体の体制を何度も直した。


自分を落着かせるためにミルクティーを飲む。


口いっぱいに甘くて暖かな味が広がり、少しの間幸せを感じることができた。
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