天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
女神の一撃
何の変化もない日常が、終わった。

僕は…信じられないくらいに疲れた為、家に帰るとすぐに、ベットに横になった。

すると…一瞬で眠ってしまった。





「てめえ!ぶっ殺すぞ!」

バイクに跨って、僕は向こうの世界にいた。

バイクじゃない。

自転車だ。

それも子供用。

いきなり、この世界に来て、自転車に乗ってるものだから、

僕はバランスを崩し、自転車ごと転倒してしまう。

「いててて…」

何とか、身を起こした僕の耳元で、ピアスが怒る。

「いきなり、ばっくれやがって」

「そんなこと言われても…」

痛みをこらえて、

僕は自転車から這い出し、起き上がった。

「さっさと、あたしに変われ」

「ち、ちょっと待てよ…」

自転車を起こそうとした僕を、

後ろから、何かが掴んだ。

「こんな所に…ガキが…」
「飯にありつけるぜ」

それは、巨大な手だった。

全身が、黒い鋼の剛毛で覆われた。

僕は顔を上げ、馬に乗っている人物を見た。

それは、人ではなかった。

「お、狼!!」

絶叫した僕を、

狼男は横目で、ぎろっと睨んだ。

そして、ゆっくりと舌なめずりをした。

「ヒィ」

声にならない叫び声を、上げた僕の耳元で、

アルテミアは、小声で囁いた。

「手間が省けた」

< 22 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop