恋する淑女は、会議室で夢を見る
甘いキス、苦いキス




*...*...*...*...*






次の日から、真優は時々
桐谷専務の打ち合わせに同行することになった。



雑談以外に発言する機会はなかったが
真優の仕事は、メモを取って議事録を仕上げるというものだ。

作成した議事録は、後に相手側にも送って了承を得なければならないので
真優はぼんやりする暇はなく
要所要所を聞き逃さないように、真剣に聞き耳を立てている。


たとえ発言の機会はなくても
営業部長に雑談要員として連れ回された時とは、
気持ちの持ち方も随分違っていた。






「具体的なことは
 また後ほどという事にしましょう」

「わかりました
 それは今日はこれで…」

「「ありがとうございました」」




・・・





会議室を出て
専務の後ろについて廊下を歩いていると、

あ!


「真優?」

「マー先輩」

進行方向から歩いてきて、立ち止まったのは
真優の元彼で、大学の先輩の白木匡(しらきまさし)だった。

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