桜ノ華
見えた現実



テストを終え夏休みに入ってからも、
生徒会の仕事はあるため週に2回ほどは登校している。

だから、啓志とも会っていられた。

本当ならこの時期はいつも海外に旅行したりしていたけど、
最近は諸事情のためそれも無くなったし、
昔から友達が少ない。

生徒会は楽しいし、なによりそこには好きな人がいる。

今までのどの夏休みより充実している気がしていた。

いわゆる"幸せボケ"で、忘れていたのかもしれない。

自分の立場を、相手の立場を。


「縁談…?!」


いつかはと覚悟はしていた。

もうそろそろかもしれないとも思っていた。


「すまない。できればおまえが選んだ相手と結婚させたかったんだが」


正面に座る父も母も、申し訳なさそうな顔をしていて。



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