雨の日、キミに欲情する
第三章
笹島さんと千沙とは、電車のあるウチにと帰ろうと言ったから、私も早々と自分のアパートに戻ってきた。


「はぁ。もう、わかんないや」


と、そのまま着替えもせずに、バフっとベッドにうつ伏せ状態で倒れ込んだ私はーーーただ横になりたかった。


だって、今日一日あった事が、色々あり過ぎて...いろんな事を知ってしまったから。


今の私の頭の中。思考がパンクして、バラバラの思考の欠片をどう拾い集めたらいいのか、わからなくて。


それは宙を彷徨う感覚にも似ていて、フリーズするって言い方が似合うなって...思った

そうだよね。

こんな状態で、まともな思考を保てるヒトなんてはいないよね...と、


「圭ちゃん...柴崎 圭」

意味なく名前を呟いた。

優しかった圭ちゃんは、私の知っている圭ちゃんはーーーー過去の圭ちゃんで。

そういうことなんだな。って思うと、泣きたい気持ちになった。

野島さんは私と圭ちゃんーーー柴崎 圭が知り合いだとわかって、どう思ってたんだろ。


そんなことまで気になれば、胸の奥に湧き上がるのは不安。

それと同時に

『野島さん、彼女いるのに?』

と言った千沙の言葉が、蘇った。
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