イケメンすぎてドン引き!
イケメンのキャラ崩壊。







「俺、実は中学の頃、オブチさんに憧れてたんです」



「えええ!?」



「ミー先輩に聞きませんでしたか? 俺、水泳部だったんですよ」



立体感のある入道雲が、青空とあたしの間にもくもくと広がっている。



今日はハンドボール部は休みらしい。



誰もいないコートの横にあるベンチで、驚きの事実をあたしは知ることとなった。



雲から抜け出した太陽が、土のコートをじりじりと焼いていく。



「テニス部って良い噂聞かなかったんですが、その中でオブチさんがすごい部活頑張ってて、久々に地区大会突破してたじゃないですか」



「いやいや、それは皆も頑張ってたからで……」



「俺、よくプールからオブチさんのこと見てたんです。練習も一生懸命で、メンバーにも声かけてて。

でもあの頃はヒロキさんがオブチさんを好きっぽかったから俺、何もできなくて」



え。


何言ってるの?



単語の1つ1つは理解できるけど、頭が文章を飲みこんでくれない。



でも、今からどんなことを言われるか、何となく察知してしまった。



突然、かーっと顔が熱くなってしまう。



「ちょ、あの、待って。頭の中がごちゃごちゃで! わーー! ごめんね!」



まだ何も言われてないのに、超テンパってしまうあたし。



やば、絶対変な人だって思われる! てかもう思われてる? 嫌だー!



しかし――



「あははは! あ、笑っちゃってすみません。オブチさんやっぱり面白いです」



あたしにかわまず、隣にいる日に焼けた短髪の男の子――ノリ坊は可愛らしい笑顔になっていた。



普段はちょっと怖そうな目が線のように細くなっていて。



口を大きく広げないようにして笑うのがくせなのか、はにかんだ感じの笑い顔になる。



「う……」



目と目の間にしわがよっているだろうあたし。



恐る恐るノリ坊を見上げると、彼は唇をもごもごしながら表情を整えて。



そして。



「俺、吉野先輩みたいにイケメンでもないし、何でもできるわけじゃないけど、オブチさんのこと……」





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