桜ノ華
代償



時の流れは早いもので、もうすぐ夏休み。

風の噂で、啓志は南十字の中でも大きな仕事を任されるようになったと聞いた。

…だから、衝撃だった。


「買収…?!」

「ああ。…南十字財閥に吸収されることになった」

「せっかく、三崎さんの融資のお陰で建て直してきてたのに…」


項垂れる父と母。


「…どうにもならないんですか?」

「三条や三崎が、南十字に逆らえると思うか?」

「…そう、ですね…」

「三条は吸収、三崎も南十字の傘下になるそうよ。

ごめんなさいね、桜。きっとあなたも辛い思いをすることになるけれど…」


辛いどころか、嬉しかった。

啓志が、自分を手に入れようとしているのだとわかったから。



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