異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第36関門~皇帝陛下のオチャメ……かもしれない。



謎のカレー屋から戻ったあたしは、バルドに関わる問いの答えを返すため皇帝陛下への謁見を申し込んだ……んですが。






「ふぅん……君が出した答えがそれかぁ」


皇帝陛下はいつの間にか上下をグレーのスエットに着替えて、フローリングの床に大の字で寝ころんだまま、そうおっしゃいましたけど。


……いろいろとフリーダムなお方ではありますが。くたびれて洗いざらしの毛玉がたくさんついたスエット。しかもお腹出してるし、そこをポリポリ掻いてるし。相変わらずだらしないオッサンとしか言えないんですが。


「はあ……まあ、そうですね」


鍛えてはいるからか、突き出したお腹を見せられずにいるのはいいんですが。


あたしは他人の裸見て喜ぶような人間じゃないんで。ビミョーに目のやり場に困るんですけど。


「そっかぁ~やっぱし巫女だから、ビビビッと運命感じちゃった? やっぱそうだよね~キャッ」


赤く染めた頬に両手を当てて、腰をフリフリ身体をくねらせるこのオッサ……皇帝陛下。


すいません……殴っていいですか?


握りしめた拳にハァッと息を吐きかけると、急に皇帝陛下はピョコンと立ち上がった後。


ズザザッ!と身体を伏せてスライディング土下座を敢行してきました。


「すみません! ちょこっとだけおふざけが過ぎました」


突然の出来事に唖然としてると、隣にいたロゼッタさんが呟く。


「下げる頭が軽すぎる。ホントにこいつ、皇帝なのか?」


……うん。ロゼッタさん、あたしは最初からそう考えていたよ。


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