知らなかった僕の顔
疑惑の隣人
朝が極端に弱い僕は、毎朝目が覚めるたびに、起きるくらいなら死んでしまいたいという気持ちと本気で戦っていた。

思えばそれは、小学生の頃からだった。

「死んでしまいたい」というフレーズだけが余計なインパクトを残してしまいそうなので、この辛い症状を真剣に誰かに話したことはない。


僕にとっては「朝が苦手」とか「眠くて起きられない」などという、生ぬるい表現ではどうしてもしっくりこないのだ。


そんな僕でも、恋をしている時だけはなぜか違った。

朝の光に脅える吸血鬼の顔はどこかへ消え、目覚まし時計よりも早く起きることも可能になった。

今がまさにその状態だった。

僕は、朝日が上る前の青い景色と澄んだ空気に触れたくなって、近所を散歩することにした。

午前5時、この溢れるエネルギーはどこからやって来るのだろう?

僕は、一番歩きやすいスニーカーを履き、静かに玄関のドアを閉めた。

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