【実話】ありがとう…。
‡第十章 引っ越し‡
久し振りに、秀兄から電話があり、東京から、実家に帰って来てると。


普段の日だし、珍しいなと思い、聞いてみると、

「引っ越しの準備してるんだ」



「は?誰の?!」



「だから、実家の!」

って笑って話す。


「えっ?お母さん引っ越すの!?」

急いで手伝いに行く。

たかさんの家に行くと、山積みの段ボール。


朱羅の姿が見当たらない…。


「秀兄、朱羅は?」

不思議に思って聞いてみると、

「次に引っ越す所は、市営住宅の為、連れて行けないから、豊さんに引き取って貰った」

と言いにくそうに話す。


朱羅…元気で居るのかな?

幸せに暮らしてる…?

たった一度だけ、たかさんに連れられて、豊さんの家に行ったけど、あんな家じゃ、朱羅は暮らしていけない。


衣服が散らかり、飼っている犬のウンチもあちらこちらに落ちていて、ご飯だってたまにしか当たっていなかった。


見るに見兼ねてたかさんがご飯をやりに行ってた。


引き取りたかった!


貴方の可愛がって居た愛猫だから―‐。


でも…家にも4匹の猫達が居て、引き取る事は、出来なかった―‐…。


ごめんね…朱羅。


飼ってあげられなくて―。


< 122 / 168 >

この作品をシェア

pagetop