With a smile
事実
帰りの車は私が運転した。

カイさんが飲んだのは1杯だけだけど、飲酒は飲酒だから。

「悪いな、車の事すっかり忘れてた」

すまなそうに頭を下げた。

いつもこんなんだったらかわいいのになあ、まあ、それは無理か。


「これからもっと忙しくなるからよろしくな。特に英語」

うっ、そこはイタイ。

「頑張り屋さん、だから大丈夫かぁ」

全然かわいくない、もう酔いは冷めちゃったのかぁ?

英語ねぇ・・・、あれ?

「あのお借りしている辞書って、カイさんのなんですか?」

アメリカ育ちのカイさんが、和英辞書なんておかしい、英和辞書なら分かるけど。

「ああ」

んーーー?

「随分使い込んであるみたいですけど」

「オレのだよ、今は。元々は・・・オヤジのだけどな」

カイさんの顔が窓の方へと向いたのが分かった。

「オヤジは日本人だから英語覚えるのに苦労したらしいし」

そうなんだ、じゃあお母さんがアメリカの人で、お父さんが「IGARASI」、五十嵐の一族の人?


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