おいしい紅茶を飲む前に
壁一枚の目くらまし
メレディスにくっついて、シェリルはいくつもの部屋を抜けて、その場所へと辿り着いた。
他人様のお屋敷の中をすばやく移動するというのは、実は問題行動なのではないだろうか。
ここはやはり、あの伯爵家の執事だというだけで説明は足りるのだろう。などと、息を切らしながら彼女は考えていた。
メレディスに動いてもらうことを狙って、クリストファーの名を口にしたのだけれど、何もここまでといった勢いには驚いた。
もしどこか途中で捨て置かれてしまったなら、二度と発見されないのではないかと思える箇所がいくつかあったほど、入り組んだルートを駆け抜けて。