ケータイ恋愛小説家
正しいデートのやり方
ん―――……。


さっきからあたしは、クローゼットに掛けられた洋服とにらめっこ中。


な…何着てこ。


実は今日、

デートなんです。


あ。

今ちょっとウソつきました。


デートといっても、もちろん本物のデートじゃなくて、あくまでも“模擬デート”なのだ。


恋愛小説を書いてるくせに、デートなんて一度も経験のないあたし。

蓮君にお願いして、今日はデートを体験させてもらうことになった。

それで今、着ていく服を迷ってるってわけ。


わたしが今書いている小説は、ヒロインが大学生なんだよね。

どうせならヒロインになりきって、おしゃれな格好で出かけたいじゃない?

なのにあたしのクローゼットの中と言えば、子供っぽいものばかり。


先週の日曜、蓮君と会っていた時も感じてた。

大人っぽい蓮君のとなりに並んだ、いかにもガキっぽいあたし。

どう見ても不釣合いだった。


はぁ……。


あたしは深いため息とともに、クローゼットを閉めた。


どうしよ。
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