続きは、社長室で。2
漸進の、始まり。



東条家という名家の当主でもあり、社長の拓海。



かたや私は、東条家にお仕えする身分の佐々木家。





公家華族である東条家に対して、一身に守護した青侍出身の佐々木家。



これ以上の経緯は分からないけれど、永代続く関係だと教えられた。



互いの嫡子が協力し合い、死を別つまで続いてきたモノだそう。





だけれど私たちの代で、その主従関係が潰えるコトになる・・・






ご先祖様には、申し訳無いという気持ちもあるけれど。



それでも私たちは、別離ではなく番い(つがい)となる選択をした。




きっと私が女として生を受けたのは、拓海を愛するためだと思う。



そう都合良く考えるほどに、彼の背中を追い続けていた日々。




苦しくて、悲しくて、儚くて…、押し潰されそうだった。



何度も諦めて、現実から逃げたいと切望したギリギリの毎日。




それでも真実の先には、アノ頃と変わらない貴方の笑顔があって。



求婚の言葉とともに、ギュッと抱き締めて貰えたという奇蹟。




この先はもう、大丈夫だと思えたの・・・――




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