パセリな彼女がついた嘘
好きな四字熟語
約束の金曜日には、僕の体調もすっかり回復していた。

指定された和食屋に入り『須藤』と予約名を告げると、
座敷の個室に案内され、そこには既に足を崩した須藤と、
初めて会う小田切さんが向かい合わせに座ってワインを飲んでいた。

「すみません、遅くなりまして」

僕が脱いだ革靴を中年の女性定員がそろえて
靴箱に仕舞うのを見届けて上がり、会釈をした。

「豊田は仕事と女が大好きなんですよ」

須藤がそう言うと、小田切さんが笑い、

「あとは酒に強くなれば完璧だね」と言った。

「はじめまして、豊田です、須藤とは、」

須藤の横に腰を下ろして言うと、

「聞いてるよ、小田切です、はじめまして」

と言ってグラスを置き、名刺入れから名刺を取り出してくれた。
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