不器用なLOVER
Fifth jealousy
まだ思い出すだけで怖くて体が震える、体をなぞる手の感触がリアルに甦り背筋に冷たいモノが流れる。

「…会いたいよ」

私はまた溜め息をついた。

あの日送ってくれた帰り道に、透弥さんに言われたさよならの意味は分かってる。

ホントに透弥さんと前のように話すことも出来ないの?

「透弥さん…」

机に突っ伏すと、

「もう毎日毎日空気が淀む」

登喜子が前の子の椅子に座り、

「何があったか知らないけど、会いに行けばいいじゃない」

その隣に真姫が立つ。

「そういうわけにはいかないんだってば…」

また溜め息が漏れる。

「でもそう思ってるのはあっちゃんだけでもないみたいよ?」

衣里が意味深に指し示す窓からは渡り廊下が見えるだけ…。

私はもう一度衣里を見た。

「時々居るんだよね」

登喜子が私の机に頬杖をつくと、

「私達に気付いてすぐ行っちゃうけど」

真姫も私の机に手を付き、

「何見てるのかな?」

衣里が微笑んだ。

一人話が見えず、首を傾ける。

「生徒会長が好きなんでしょ」

衣里の問いに静かに頷く。

「だったら迷わず会いに行けばいいじゃん」

真姫が机を叩く音に驚いて周りが此方に注目した。

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