私立秀麗華美学園
4章:無謀な戦い運命やいかに
激動の1日が終わり、寮に帰って本日は自室で勉強を終わらせた俺は、ベッドの上で雄吾に今日の報告をしていた。


「そうか……よかったな」


微かに微笑み、雄吾は手に持ったマグカップの、珍しく俺が淹れた砂糖なしのブラックココアをすすった。


「結果的にはな……一時はどうなるかと思ったけど」

「なるようになったという感じだろうな」

「感謝しています」


俺はへこりと頭を垂れた。
ふ、と、小さく笑うような音が聞こえる。「今更だろ」と、言っているのだ。


「これまでゆうかがそんな思いを抱えていたことは、咲ですら、よくよく知ってはいなかったはずだ。本音が聞けて、よかったじゃないか」


俺は自分用の砂糖たっぷりのココアからたつ湯気を見つめ、ゆうかの言葉を思い出していた。


『本気に、聞こえなかった。いつもふざけてるのかと思ってたわ』


だけど、今日は本気が伝わった。
思い出すだけで顔が熱くなるセリフも、授業をさぼってまで作った時間も、必要なものだったんだ。


「だけど、それでも気持ちは変わらねえんだってよー……」

「人間の感情なんて、それこそこの世で1番理解のし難いものだ」


確かに、それは雄吾とずっと一緒にいる俺にはよくわかる。


「勝負、どうなるかはわからないが……いや、おそらく結果だけは見えているが、精一杯頑張れよ。ゆうかの気持ちがそれだけ明確なら、何も恐れる必要はないだろ」

「そうだよな……うん、プレッシャーも、前ほど感じなくなったし」


雄吾は立ち上がると、飲み終わったココアのマグカップを流しにトンと置いた。


「目玉焼きもろくに作れないお前にしては、上出来だ」


朝のことといい、そろそろ雪かヒョウかあられでも降るかもしれない。


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