先生の青
Color.6 先生の過去と孤独



掃除を一通り終え

片付いたリビングを見渡し

額の汗を拭った



……ったく、先生の部屋を
掃除するのは重労働だ



ふと、キッチンの方を向くと


先生はシンクに寄りかかり
缶ビールを飲んでた


別に何気なく見ただけなのに
先生は ハッとした顔をして



「悪い、イチ」


『悪い』ってのは

掃除をさせた事?

それとも

私が汗水たらし掃除してる時に
ビールでひと休みしてた事?



「飲んだら車で
送って行けないよな
うーわ、オレのアホ」



送って行けない『悪い』ね



「いいよ、1人で帰れる」



先生の横に並び
手を洗いながら


「ほら、ご飯作るから
あっち行って」


素っ気なく言った私を見て
先生は表情を崩して笑い


「はーい」って
子供みたいな返事をして
リビングのベッドに座った





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