狐と兎

1000年ぶりの永久の雪

「貴方達を殺そうと思ったけれど、そしたら貴方の他の家族が苦しむだけだね。
あたしの大事な人を奪う奴らは殺したいほど憎いけど、本当に殺せはしない」


キルシュは自分の命で何とかなるならそうしたいとも思いました。

しかしそうした事で大事な人であるハルトが助かっても、2度と会う事は出来ません。

いずれにしても間もなくキルシュは彼とは2度と会う事は出来なくなるのでした。


「貴方達と話していても、もう無駄って分かった事だし。
今のあたしに出来るのはハルトの傍にいる事だけだから。もう帰る。
ていうかもうこんな事しちゃダメだからね!?」


そう強気になって言ってみたものの、キルシュの中にはハルトへの謝罪の気持ちで沢山でした。


（やっぱりあたしには龍なんて説得出来なかった。たった僅かしか話していないけれど、
幾ら言っても通じる相手なんかじゃなかったんだ。強い思いがあっても無理なんだ）