ラブリーホーム*先生の青③
♯2




「あー、イチ?オレ。
ごっめん、今日さー
先生たちに誘われちゃって
軽く呑んで帰るから」



夜の7時にパパから着信



「えー、
もうご飯作っちゃったのに
いらないなら
もっと早く電話……」



「あー、ごめん、ごめん
本当にごめんな」



あれま
ずいぶん素直に謝りますこと



「遅くなるの?
お風呂は?
保温切っといていい?」



「あ、うん
自分で沸かし直しするから
じゃ、ママ、愛してるよ
じゃーなー」



………わかりやす



ピッとケータイを左手で切り
右手には手のひらサイズの
四角い紙



――――――――――――――
キティクラブ


     エリナ

――――――――――――――


先生の机の引き出しに
入ってた
ピンクの可愛い名刺


まさか、先生が
キャバ嬢に
うつつを抜かすとは



キャバクラに使うために
おこずかい
あげてるんじゃないぞー



ダイニングテーブルの下に
せっせと新聞と
ビニールシートを敷き
青波に食事させ



片付けを済ませたら
お風呂に入れ



明日の朝食とお弁当の
下ごしらえをして



まだ遊びたがる青波に
これまた嫌がられる
歯みがきをほどこし
寝る準備をさせる



この間もヤツは
キャバクラで
エリナに鼻の下を
伸ばしているのだ



…………ちくしょー


叩きのめしたるわーっっ





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