君を愛す ただ君を……
最初で最後のデート
部活が終わって、あたしたちは制服に学校指定のコートを羽織って手を繋いで街中を歩いた

「1位のお祝いは何がいい?」

あたしは越智君に手を握られながら、口を開いた

隣で歩いている越智君が、きょろきょろと周りを見渡すと、すっと手を繋いでいないほうの腕を持ち上げた

「あれがいい」

越智君が、コンビニの前でゆらゆらと揺れいてる旗を指でさした

「アイス?」

旗にある写真を見たあたしは、首を傾げた

「うん、アイスが食べたい」

「アイスでいいの?」

「部活の後ってさ。いつも冷たくて甘いものが食べたくなるんだ。ほんとはいけないんだけどね」

越智君が、肩を持ち上げて苦笑した

「じゃ、アイスを奢るよ」

「サンキュ」

越智君に何かしてあげられるのって、今日で最後だから

あたしはぐいっと越智君の手を引っ張ると、コンビニに向かった

「なんか…怖いなあ」

越智君が、ぼそっと呟いた

「え?」

あたしが越智君に振り返ると、越智君がちょっと寂しそうな顔をしていた

「涼宮が、優しすぎるのが怖い」

「や…優しくしちゃだめなの?」

「違うよ。そうじゃない」

越智君がコンビニの手前で一度足を止めると、ぎゅっとあたしの肩を抱きしめてきた

「なんか…涼宮が、離れていきそうな気がして」

「えっ?」

あたしはドキッと心臓が飛び跳ねた

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