六人に届いた手紙
第七話 遺書
 次の日、沙也加にドアを叩かれて目が覚めた。
 沙也加は泣きながら、一通の手紙を持っていた。

 目を通すと、見覚えのある朋子の字で、遺書らしき内容が書いてある。



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 沙也加、優子、幸子、亜紀、恵子へ

 私は今までみんなに黙っていた事があるの。
 それを話すのが怖かった。みんなに嫌われるのが怖くて、言い出せないまま十一年が経ちました。十一年経って、加奈の幽霊に怯え、こんな形でしか真実を話せなくてごめんね。

 みんなも知っていたと思うけど、私と加奈は、いつもちょっとした事で言い合いになって喧嘩ばかりだった。

 ある日、加奈が年上の彼氏と歩いている所でばったり会ったの。そして偶然、スナックでバイトをしていた私の店に、加奈の彼氏が訪れて。私は加奈と喧嘩ばかりしていたから、軽い気持ちで加奈の彼氏を誘った。でもいつしか私も本気で彼を好きになってしまって、加奈には悪いと思ったけど、彼と付き合い始めたの。

 そして、彼は加奈と別れるつもりで「明日会いたい」とメールした。でも明日と言うのは加奈の誕生日だと気付いた私は、加奈にとって酷だと思って、彼の代わりに待ち合わせ場所へ行ったの。そこで加奈に全てを話し謝ったけれど、加奈は携帯をいじったまま黙ってた。しばらくして、加奈は「今日私の誕生日だし、付き合って」と言ってあの高層マンションに私を誘った。

 屋上に着くと、加奈は「昔よくみんなで景色見に来たね」と懐かしそうに思い出しているようだった。
 でも、ぶつぶつ何か言ってるから、「なあに?」と訊くと「裏切り者!」と私に言い残して屋上から飛び降りてしまったの。

 その後、私は逃げる様に立ち去り、その事を誰にも話せず十一年の月日が流れた。
 加奈が今でも私を恨んでいるのは当然だと思う。
 せめてもの償いとして、私は誰とも結婚せず罪と向き合ってきた。でもやはり私のした事は許されるはずないよね。
 私は加奈の所へ謝りに行きます。
 さようなら

                     朋子より
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