約束
第六章 決意
 私は温かい空気を求めて、中庭に出てきていた。日差しを求めて出てきたのに、太陽が雲に隠されているのが、今の私の状況を物語っている気がして、ため息を吐いた。

 昨日も昨日でいろいろあったが、今日は今日で嫌な時間だ。

 早起きをしようとしたら、目覚ましが止まっていて寝坊をした。昨日のことから何を察したのか、今朝は姉が起こしにきてくれたけど、部屋を出たときに木原君とばったり会い、寝癖のいっぱいある頭を見られてしまった。

寝起きでだるかったこともあり、顔もかなりのしかめっ面になっていたと思う。彼は驚いた顔をしていたが、作り笑いを浮かべて挨拶をしていた。

 その後、母親に飲物だけでも飲んでいけと言われ、飲もうとしたら手が滑り、木原君の制服にコーヒーを零してしまった。

 ぬるくなっていたからやけどをするということはなかったようだが、母親にはこっぴどく怒られ、彼は代えの制服があるから大丈夫と言ってくれたが、着替えてきてもどうもその香りが彼に残っている気がした。

謝っているうちに時間もなくなり、慌てて登校して、教室に入ってから英語一式と数学一式を忘れていることに気付いた。

 晴実とはろくに顔を合わせられなかった。彼女も何かを察したのか、無理に話をしようとしなかった。高校に入学して、一番に仲良くなったのが彼女で、いつも何でも話をしてきた。
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