偽りの結束
5 全滅
 どのくらい走っただろうか?

 いつの間にか、私と可奈子もはぐれてしまった様だった。

 その時ふと、横を見ると、テングダケという毒性を持ったキノコが、月明かりに照らされ見えたので、私は万が一に備え、咄嗟にポケットに入れた。

 誰の姿も見つけられなかった私は、一度テントに戻ろうと思い歩きだした。

 すると、黒い塊が見えたので、目を凝らしながら近づくと、佐藤が倒れている姿だった。私は駆け寄り、揺すって声をかけたが、佐藤の顔を覗くと、目を見開き死んでいたのである。


 キャーーーーーーー!!


 私はありったけの声を上げ、全速力で森を駆け抜けた。

 途中、枝などで腕を切っていたが、痛みさえ感じなかった。

 どのくらい走っただろう。

 私の声を頼りに走ってきたのか、可奈子が「ひとみ、ひとみ」と、繰り返し名前を呼びながら現れた。可奈子は私の顔を見ると泣き出した。

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