不機嫌な果実
〈6〉チェリーの気持ち


ギラギラと太陽が照りつける、暑い夏の午後。


麻紀は、会社近くにある旅行代理店に来ていた。


猛暑日続きの影響か、店内は客が疎らだった。


冷房の効いた店内に入ると、入り口すぐ脇に置かれたパンフレットを迷わず手にした。


表紙には『夏スペシャル リゾートの旅』というフレーズとともに、真っ青な海と白亜のホテルが映し出されている。


ホテルからプライベートビーチまで徒歩3分。


街から隔離され、リゾートを満喫できる最高のロケーションだ。


誰にも邪魔されず、バカンスが楽しめそう。


普段は着ない水着だって、ここでなら惜し気もなく披露しちゃうわよ!



< 76 / 210 >

この作品をシェア

pagetop