フェイクハント
二・お通夜
　静夫のお通夜が始まり、列席者に対し典子は気丈に努めていた。

　海人、涼、遥、雪絵、秀樹の同級生五人は積極的に受付などの手伝いをしていた。列席者の中には、会社関係からかつての同級生達など、大勢の人で溢れていた。生前静夫が社長だったこともあり、交友関係も広いのである。

　涼と雪絵は受付を任されていたのだが、始終雪絵は精神的に不安定で、突然泣き出したりしていた。目を真っ赤に腫らし、目の下にはくっきりと隈ができており、静夫が殺された知らせを聞いてから泣いてばかりいたということが、誰の目にも明らかだった。


「大丈夫？　顔色もあまり良くないみたいだし。少し休んできたら？」


「ありがとう涼。静夫がこんなことになって、私まだ信じられない」


「そうね。私もまだ信じられないわ」


「静夫は体格も良くて柔道もあんなに強かったじゃない、どうしてそんな静夫が、チェスターの被害者なんかになるのよ……」


　涼は「うんうん」と頷きながら、嗚咽を洩らす雪絵の肩を優しく撫でた。

　そしてお通夜も半ば、海人と秀樹が慌てた様子でやってきた。

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