隣の先輩
第2章 入学式
 入学式の日、まだ違和感の残る制服に袖を通し、家を出た。


 誰も知り合いもいないので、誰かと一緒に待ち合わせるといったこともない。


 行きだけ母親と一緒に行き、帰りは別々に帰宅することになった。


「どっちにいけば学校に着くと思う?」


 母親は首をかしげている。


 そんなことを聞かれてもさっぱり分からない。


 前に住んでいたところは、お店やマンションが多く、迷子になることはあまりなかった。


 でも、似たような家が並んでいる住宅街ではそんなことは通用しない。目印がないようなものだった。


 途中で変な道で曲がってしまったのか、どこをどう歩けば学校に着くのかよく分からなくなっていた。


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