恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
【第一章】



『くるみ』


心地よく響く声が、あたしの名前を呼ぶ。

どこまでも甘く沈む声は、優しいのにどこか切なくて。



『……くるみ』


だんだんと遠ざかっていく声。

あたしは、堪らなくなって手を伸ばす。



愛しくて仕方ない人に、

守りたくて仕方ない人に、どうにかして触れたくて―――……。











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