隣の先輩
第7章 先輩の家
入ると私の家と同じように廊下がある。


 いくつか脇に扉があって、私より一足早く家の中に入った先輩はすりガラスのはめ込まれた扉に手をかけていた。


 靴を脱ごうとして、足が濡れているのに気づいた。


「先輩、やっぱりいいですから」


 洋服だけではなく、足まで濡れていることにさっきは頭が回らなかった。


「別にそのままで上がってもいいよ。気になるなら、タオルを持ってくるから、それで足を拭けばいいって」


 そう言うと、目の前の扉ではなく、一つ手前の木製の扉を開けて、その中に入っていく。


 さっき鍵を開けていたこともあって、家には誰もいないんだろう。



 私は先輩の家の玄関を眺めていた。


 玄関には絵が飾られている。他には目立つものはなく、どちらかといえば殺風景な感じだった。

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