雪情
第4章 戦士達の休息
【誘惑ー1】


「しかし、
こんなところに
刑事がいるとは
思わなかったな」






と小川が話し始めた






「ですが、
あの人達は
とてもいい方ですよ」






大久保が答えた





「刑事はいいがよ、
あの白井ってヤツが
気にくわねえな」






「そうですか?
少し無愛想ですが、
人が良さそうでしたよ」






「ワシもそう思うな」






と荻原が会話に
入ってきた。






「料理のうまいやつに、
悪いヤツはおらんよ」






「ほ~う、
荻さんが初対面の相手を
気に入るとはな」






「珍しいですね」







「相手の目を見れば
分かるわい。
いいヤツか悪いヤツか」







荻原は
ときどき不思議なことを
言う。






その度、
何て言葉を返していいか
分からなくなる。







「そうだよ
荻さんの言う通りよ、
何カリカリしているの?」






奥から
洗い物を終えてきた
川上が小川に言った。






「ただ気にいらねえ
だけだ。

さゆりも
あんま近づかない
方がいい」







それを聞いた荻原は、
納得したかのように言う







「そうか、
カワイイ彼女があんなに
ベッタリしたら
面白くないからか」






「あ、考えてみれば
そうですね」






その通りであった。


この二人は付き合って
いるからである。







そんな自分の彼女が
白井とベッタリして
いたのが、
面白くなかったのだ。






「そんなに
心配しなくても大丈夫よ」






そう川上に言われても、
小川は黙ったままである
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