赤い愉楽
四月一日
怜奈はテーブルの上のキャンドルを
見つめていた。


部屋の明かりとテラスから入り込む
月の光を絶妙にミックスさせた照明。


「今日はシャンパンという気分じゃないわ」


ソムリエが勧めるシャンパンを
物憂げに断る怜奈。


どこからか聞こえてくる
シャンソンの音色。


南フランスを意識した
落ち着いたインテリア。


そんな料理店で
怜奈は待っていた。


「お待たせして申し訳ありません」


怜奈が振り向くと
そこには柔らかい微笑みを浮かべた


奥田が立っている。
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