【続】俺様王子と秘密の時間

◆ピンク色の放課後



「シイどーしたの?」


パタン。

あたしの前を歩くコウちゃんが突然くるりと振り返ったから、慌てケータイを閉じた。



「な……なんでもない!」


別に慌てる必要なんてないのに。

少し前ならヒヤヒヤしてたけど、今は……はーちゃん達はもう知ってるんだから。

視聴覚室は確か新館の……って、あたしったらなにあっさり行こうとしちゃってんのよっ!?


バカバカ。

そんなんだからダメなんだよぉ。

だから、いつまで経っても進展ないんだ。



「また明日も野次馬が来るね?」

「えっ……」


廊下を歩く途中で言われたことに、あたしの気分はドーンと沈む。



「だってほら」


と、コウちゃんはブレザーのポケットに手を突っこみくしゃくしゃになった紙を取り出した。



「コウ!ダメって言ったでしょ」


紙を受け取ったあとに、はーちゃんは「しまった」と言わんばかりの顔をした。

 

< 15 / 658 >

この作品をシェア

pagetop