平安物語【完】

*聖夜




――

弁……改め、右大将の君が我が邸を去ってから二カ月が経ち、あっという間に師走(12月)となりました。

私のお腹も更に更に大きくなって、少しの動きも億劫なくらいです。


右大将の君の正式な御結婚に際して、我が右大臣邸では大袈裟過ぎるほどの支援をしました。

右大将の君の御実家では、新しい身分の始まりに相応しいだけの支度が出来なかったのです。

年頃の姫を持つ貴族達は、出世株の右大将殿の正妻の座が元女房に奪われたことを大変不服に思っていたようですが……
お二人の後ろ盾として我が父上がついて睨みを効かせていましたので、その貴族達も寧ろお祝いに参上なさったようでした。

それに何と言っても、尚仁様から御祝儀が下賜されたのです。

帝が御自ら祝福あそばす御結婚とあれば、一貴族が文句をつける訳にも参らなくなります。


まあ…私が尚仁様に、特にお願いしたのですが……。



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