モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇

愛のない嫉妬

直哉は、会社から裕子を外食へ誘うメールを寄越した。

裕子はそれをとても喜んだ。

夫婦となった途端、きちんとお洒落をした姿を夫に見せるようなチャンスがなかった。

春に着たくて買った薄い水色のワンピースに、白いカーディガンを重ねて、ハイヒールを履くと、裕子の気分も華やいだ。

近くにある夫の会社の前まで指定された時間に行くと、調度夫と社員の何人かがエレベーターから降りてきたところだった。
裕子の姿を見つけた直哉の顔が、一瞬、醜く歪んだように見えた。

「うわ〜！！社長、奥さんのお出迎えですか。相変わらず綺麗ですよねー。社長、羨ましいなーもう！！」

社員達がお世辞を言ってはしゃぐ。


裕子は軽い会釈をして、夫についてレストランへと向かった。