モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇
大き過ぎた代償
裕子は狂ってしまった。
抑えてきた感情、与え続けた愛、払い続けた犠牲・・・
全ては夫を愛し、愛されていると信じ、耐え続けた結果
ようやく掴んだと思った手の中には何もなかったことに気がついてしまった。
そして始めから、彼に愛されてなどいなかったことを知ってしまったのだ。
〔愛は愛を以って報いを得る
報われない愛は浄化されなければ深い憎しみに変わる〕
裕子はヒステリックに夫に当たり散らすようになった。
「なんで帰ってこないのよ!?
浮気? 浮気でしょう?いい身分だわ。
私がどれだけアンタなんかのために、アンタなんかのために
どれだけ我慢したと思っているんだ?
死ねよ、 死ねぇ 糞野郎!!バカヤローー」
完全に理性を失い、自分を抑えることができなくなっていた。
一日に何回も何回も、夫の携帯、留守電、会社の電話、ファックスに訴え続けた。
朝から精神安定剤をアルコールで流し込み、震えて泣きながら
直哉の帰りを待ち続けた。