Symphony V

Allegro

唯は1台の携帯を握りしめ、刻々と時間が過ぎていくのを待った。


「…外に出てもいいですか?」

唯の突然の申し出に、村儀は首を横にふった。

「だめだ」

「その、ちょっとコンビニまで」

「部下に行かせる。何がいる」

「いや、そんな…悪いですよ」

「お前に抜け出されて何かある方が、俺達には悪いがな」

取りつくしまもなく。そして唯の考えなどお見通しで。

「…屋上に風にあたりにいってきます」


そして今、唯は屋上で寝そべっていた。
隣にはもちろん、レオンがいる。


こっちもどうすることもできなさそうなんだよね。


はぁ、とため息をつく。

「…どうかしたか?」

レオンに聞かれて、唯はなんでも、と答えた。


時刻は午後9時。
約束の時間まで、あと3時間だ。


…とにかくギリギリまで大人しくしとくしかないよね。


唯はそっと目を閉じた。
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