キミの隣に

ちいさなチャンス

 

里奈から聞き出した
電話番号をダイヤルして
通話ボタンを押す。


やべっ・・・
心臓止まる。


鼓膜の奥で、脈が
バクバクゆって、
反響している。


こんなに緊張して、
電話してんのに、
相手は出る気配すらない。


でてくれっ!


祈りつつも、
なんで、こんな
焦って電話してるんだか・・と

呆れる自分がいる。


その、理由は、簡単だ。


俺が、忘れていた
その、何かを
思い出したから。


いや、


忘れてなど、
いなかったけど。


『・・・はい?』

かけ直す事、三回目 
ネバッて良かった。

やっと取ってくれた
彼女の声は、
警戒モード全開だった。


・・・確かに

しつこ過ぎたよな。


「あの・・・」

俺の事、知ってんのかなぁ?

里奈は、顔くらいは
知ってるはずって、
ゆってたけど。

話の切り口に、
自分の名前と身分を告げると、
電話の向こうから、
クスクス笑う声が聞こえた。

『鷹尾センセなら、
しってますよ?』

そういって。
 


 
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