神様のきまぐれ

ラストステージ

契約満了日。

今日で、コーラスのお仕事も、
マネージメントオフィスの
お仕事も終了だ。

最初の約束通り、
更新はない。

本当は、二ヶ月前に、
こういう日が来てたはずなのに
思わぬ所で拾われて、
今日まで食いつなげた事に
感謝している。

リハを終えて、
メイクさんに
お化粧をしてもらう。

「ヒナコちゃん、お疲れ様。
今日で最後じゃん♪
頑張ってね!」

「ありがとうございます。」

そう、最後のライブが
待ってる。

頑張らなきゃ。


他のメンバーが来るのを、
メイクさんと、ヘア担当さんの
待ちながらの談笑を、
横で聞いている。

「でもさ、志央も喜んでたけど
一番喜んでたの、
スタイリストの増田君
じゃない?」

二人が、爆笑してる。

「アイドルでも
今時着ないくらい
ボリュームあるスカート
作ってたもんね。
『これは譲れない!』とか
言って。」

「そうそう!」

二人は、笑い泣きし始めた。

「志央、激怒してたじゃん?」

「志央のが、センス
よかったりして!
よく、革のパンツとブーツ、
用意しておいたよね!」

私らって、気が利く〜!!って、
体を折り曲げて、笑ってる。

そんな事件もあったね。



 
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