カラカラライフリズム

ハッカー

「よう、最近ちゃんと食ってるみたいだな」

「……別に」

樋口が買い物袋を下げて一樹の部屋に来て、

彼の顔を見るなりそう言った。


「つーか、そういうのってぱっと見で分かるもんなのか?」

「分かるさ」

樋口はしれっと答えて、中に入っている物の心配をせず、

床に袋をどしゃっと置いた。

半透明のビニール袋は、力無く崩れる。

樋口は、一樹の食品類の買い物をいつも引き受けている。

彼が一樹の世話を焼くのには訳があり、

またそれは一種の父性のようなものでもあった。



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