さぁ、跪いて快楽を乞え!

Trois.

大胆に開くスリットから長い脚線美を見せ付け、ヒールの音も高らかに、髪は歩くたびになびき、頭飾はしゃなり、と品性高く音を鳴らす。

……それが女役の醍醐味ではないのか?!

「雅美! もっとおしとやかになれ!!」

「ふざけんな! この俺に女役を押し付けておいて何を偉そうに!!」

今の薫は、左側に開いたスリットから覗く長く綺麗な脚線美……しかし、慣れないヒールで、ずかずかと下品に歩き、女のそれよりもゴツイ肩や二の腕はストールで隠し、黒く、長いウィッグを欝陶しい! と言いながら振り払う。そんな薫が頭飾などきちんと付けられるはずもなく、その辺に放り出してある。

「だいたい隙間からボクサーが見えてんだよ! 隠せ汚い!!」

品性も糞も無い……。

「無茶言うな!! 大体誰だ、こんなにスリット開けたやつ!!」
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