初恋タイムスリップ【完】

出会い

20**年4月1日。

春なのにめずらしく、雪が降った。



小さなビルの2階から、夜の街を白く染めていく雪を眺めていた。



街灯と、咲き始めた桜と雪が重なりあって綺麗だ。




今いる場所は、小さな防音室。



苦しそうに、グランドピアノがおいてある。





私、桜木美音(さくらぎみお)



音大を出て、ここでピアノ講師をして、3年目になる。




明日、誕生日がきて25歳。









「桜木先生、お疲れ様でした!」




同じくピアノ講師の後輩から声をかけられる。




恋愛体質なのか、彼女はしょっちゅう彼氏が変わる。




「じゃ、彼氏待たせているんで、お先に失礼します」






「お疲れ様…」






私の言葉をさえぎるように重たいドアは閉まった。







だいたい、彼氏がしょっちゅうかわるなんて、全ての人に本気だったんだろうか…


なんて



初恋の人が忘れられずに10年間彼氏がいない私には考えてもわからない。





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