僕 の 愛 し い 人 [ホラー]

恐怖

『‥あ‥‥あ‥』

雪梛は怖がって声が出ていない。

『るき兄‥‥‥‥』

星愛も怖がりガタガタと震えている。

もし俺があいつを捕まえに行ったとしてあいつが逃げたとする。

俺が深追いしている間にもしこの家に戻ってきていたら?

今は女二人だけだ。

どうする?

今の状況は最悪以上だぞ。

『‥‥!』

外から正之の車の音がした。

『星愛!玄関の鍵を開けろ!』

星愛は泣きながら俺の言うことを聞いている。

『ただいま〜』

桜が部屋に入って来る。

『正之!
窓だ!』

続いて入って来た正之は意味が分かったのだろう。

俺が叫んだ瞬間に土足で部屋に入って来た。

正之は俺に靴を渡す。

靴を受け取った俺は窓の鍵を開けた。

カーテンの隙間から男はもう見えない。

いつ逃げた?
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