桜の記憶


 晴天に恵まれた日曜日、

桜並木のある公園。


空を見上げれば、

抜けるような青い空に薄紅色の花弁が映える
……はずなのだが、

私の視界はサングラスで覆われているので
全体に薄闇がかっている。

下に目を落とせば、
花見客の煩雑した光景が目に痛い。


「おおばーちゃーん」


先を走るひ孫が何度も振り返っては、

怪訝な表情を浮かべて戻ってくる。


「なんだよ大婆ちゃん、そのサングラス。
花見に来たいって言ったのは大婆ちゃんじゃねぇか」

「うるさいねぇ。
眩しすぎるからこのくらいで丁度良いんだよ。
全くお前は口うるさいねぇ」


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