花とアイドル☆《完》

夕暮れの約束

     ☆☆☆☆☆



帰宅した花乃は、玄関に足を踏み
入れて、ドキンとした。


広い玄関の上がり口に、ピンク色
の靴紐が鮮やかなスニーカーが、
無造作に脱ぎ捨てられている。


――これ、拓斗クンの……!


時刻はまだ、午後4時を過ぎた
ばかり。


まさかこんな時間に拓斗が家に
いると思っていなかった花乃は、
完全に狼狽した。


――ななな、なんで!?

仕事じゃないの?


まだここに靴が放置されてると
いうことは、拓斗も帰宅した直後
なのかもしれない。


――他に靴はないから……朱鷺田
さんはいないみたい、かな。


正直、それにはかなり安堵しなが
ら、花乃も靴を脱ぐ。
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