私は嘘で出来ている。

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周りの音が遠く聞こえた。


京也は新菜を頭の上から爪先までジロジロと観察している。


新菜は逃げることを忘れているようだ。


「新菜!ちょっと手伝って頂戴」


空気を察したのか、アキラさんが新菜を奥へ連れて行った。


「ビビった~!何、アイツそっち系だったんだ!?」


京也の声は大きくて、他の皆も心配そうに私達を盗み見る。


「来て」


京也の腕を掴んで、店の外に出た。


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