たべちゃいたいほど、恋してる。

《小さな秘密は大きな魅力》





「……なんで?」




龍之介の言葉に優衣は首を傾げる。本当に不思議そうに。




「いや、何でって…」




まさかそんな言葉が返ってくるとは思わなかった龍之介は、つられるように優衣と同じ方向へ首を傾げた。




「あ!みんなに内緒で何か食べてたりするの!?」




龍之介が首を傾げたことで出来た反対側の空間に迷うことなく顔を覗かせる。




「ばっ!」




慌てて優衣の視線の方へ体を動かした龍之介だったが時すでに遅し。

優衣の目には教室の中にある、あるものが映った。




「お重箱…!!!!」




キラキラと輝いた目で見つめる先には家庭科室の調理台の上に広げられた三段重と、その横には透明なカップに入った抹茶パフェのようなもの。


優衣は龍之介の腕を潜り抜け家庭科室へと入っていく。


その姿が餌を目の前にした小動物に見えたのは気のせいじゃないだろう。



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